第19話 アジト潜入

2020年12月20日

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 リーチェとパナは、牢を抜け出しアジトの脱出を試みていた。
 二人は姿勢を低くしながら、慎重に歩いていた。

「いいか。まず私たちは登録ルームを目指す」

「登録ルーム?」

「アジトにはゴーレムっていう魔法生物がうろつきまわっていて、見つかったら襲われる。だから、普通に出ようと思っても無理だ。登録ルームに行って、登録すればゴーレムに襲われなくなるらしい」

「パナはすでに登録しているの?」

「まだだ。もっと地位を上げれば、登録できたかもしれねーが、そこまで待ちたくはねーからな」

「登録ルームの場所はわかってるの?」

「当たり前だ。ここからそう遠くはない。絶対に私についてこいよ」

「うん」

 リーチェは頷く。

 しばらく2人は慎重に歩き続ける。そして、20分ほど歩くと、ズガン、ズガン、という音が等間隔で聞こえ始める。

「なんの音これ?」

「ゴーレムが歩く音だな」

「ええ! やばいじゃん」

「大丈夫だ。距離が結構ある。ただ、割と離れていても侵入者を認識できるって話だから、油断は禁物だぞ」

「わかった」

 その後、より慎重に進むが足音が徐々に大きくなってくる。

「まいったな。近づいて来てやがる。一旦戻るか……いや……」

 パナは近くに扉があるのを発見する。部屋があるみたいだ。

「一旦この部屋に隠れて、ゴーレムが通り過ぎるまでやり過ごそう」

「部屋の中は大丈夫なの?」

「私もアジトにある部屋全部を把握しているわけではないが、結構使われていない部屋も多いらしいからな。たぶん大丈夫だろう」

「ゴーレムがわざわざ部屋を調べたりしてこないかな?」

「それはない。奴らは通路以外の場所に行くことは決してない」

「そうなんだ」

「じゃあ、入るぞ……開いているみたいだ」

 部屋には鍵がかかっておらず普通に入れた。
 2人は中に入る。

 薄暗い部屋だ。2人は扉を閉める。
 部屋には誰もいない。
 と暗くて目が慣れないうちは2人ともそう思っていた。

 だが、暗さに目が慣れて部屋のようすが少しわかるようになると、

「!!」

 パナは部屋にあるとあるものを見て、驚愕して目を見開いた。

 パナの視線の先、部屋の奥の方。
 額と両方のこめかみ、合わせて三本の角が生えている、三角鬼族の男が、ベッドに座りながら寝ていた。
 黒髪のロングヘアで、和服姿。腰には刀を装備している。
 額に傷が入っていた。

 2人は男を見て思わず声を上げそうになったが、咄嗟に口を押さえて我慢する。
 そして、何とか物音を立てずに部屋の片隅まで移動した。

 男は寝ているみたいだが、いつ起きるともしれない。2人は心臓を高鳴らせながら、ひたすらゴーレムが過ぎていくのを待つ。

 しばらくして、ゴーレムが部屋の前を通過したようだ。

 その後、足音が遠ざかるのを待ち、2人は慎重に扉を開けて外に出た。そして、急いで部屋の扉から遠ざかる。

「はぁはぁ、びっくりした」

「もう誰かいたじゃない」

「すまん。いないと思っていた。しかし、奴の部屋がこんなところにあるとは」

「あの人、誰か知っているの?」

「三角鬼のシンだ。このアジトの用心棒的な存在だな。圧倒的強さを誇っているらしい。偶然今が休憩中だったのはむしろ幸運と見るべきだな」

「そうなんだ……」

「……あ? それよりお前それ」

 パナがリーチェの右手に握られていたものを見る。
 彼女の右手には少し古びた刀が握られていた。

「どうしたんだ?」

「落ちてたから拾った。私、剣使うの上手いから、これで戦いで役に立てるね」

「お前、意外とたくましーのな」

 パナは少し呆れた表情でリーチェを見た。

 少しトラブルがあったが、その後も順調にアジトから脱出するため2人は歩き続けた。

 ○

 ペペロン達は、拠点を出てBBCアジト入り口を目指す。
 ちなみに時刻は夜。 BBCのメンバーも当然睡眠は取る。夜に行けば寝ている者が多いので、侵入もしやすくなる。
 現在同行しているのは、ノーボを除いた主要な部下とエルフ達五人だ。

 ポチとファナシアは、ペペロンとは別の入り口から入るのだが、現在は同行していた。

 まず、ポチとファナシアが入る入り口まで全員で行って、その後、ポチとファナシアを残して、もう1つの入り口の方に行く。

 なぜ最初から分かれていかないかというと、場所を正確に知っているのはペペロンだけだからだ。

 ポチとファナシアが入る入り口は、廃屋のような場所にある入り口だ。

「10分したら侵入しろ」

「了解ー」「了解だよー」

 ペペロンはそう命令し、ポチとファナシアの2人が返事をした。

 その後、2人を残してもう1つの入り口まで行った。

 数分して到着。

 入り口は森のど真ん中にあった。
 落ち葉に隠されている入り口だ。入り口の扉はしまっており、鍵がかかっている。

「ガス、頼む」

「了解っすー」

 ペペロンの部下の中で最高のピッキングスキルを持つガスが、扉のピッキングを担当する。
 ものすごく手際よく手を動かして、

「終わったっす」

 ガスは数秒でピッキングを終わらせた。

「よし、ではアジトの中に入るぞ」

 ペペロンの言葉に部下達がそれぞれ返答する。

 扉を開けてペペロン達はアジトの中に侵入した。
 アジト内は薄暗い。しかし、歩行が困難だというほど暗くはないので、魔法などは使わずにそのまま歩く。

 アジトに入って数秒後ほど経った時、

 ブオオオオオオオオ!! ブオオオオオオオオ!!

 と音が鳴り響いた。

「これが警報音だ。ファナシアとポチは上手くやってくれたようだな。よし、ではこのまま進むぞ」

 ○

 ファナシアとポチは、ペペロン達と別れてから10分経過した時、アジトに侵入した。

「さーて、ここでゴーレムどもに見つかってから敵を引きつけるぞぉ」

「頑張ろー」

 2人は剣を抜き、戦闘態勢を整えた状態で、アジトを歩き出した。
 しばらく、歩き続けると、ゴーレムの足音が聞こえてきた。

「よし、ゴーレムだ。早速見つかりに行くかぁ」

「うん!」

 と言って、2人はゴーレムを見つかりに行こうとした、まさにその時、

 ブオオオオオオオオ! ブオオオオオオオオ!

 まだ見つかっていないはずなのに警報音が鳴り響いた。

「あ? まだ見つかってないはずだよな」

 ポチはキョロキョロと周りを見回す。
 間違いなく周辺にゴーレムはいない。

「どういうことー」

「ペペロン様が俺たちより早く見つかっちまったのか? いや、ペペロン様に限ってそんなミスするとは思えない。別の侵入者が見つかった可能性がたけーな」

 ポチはそう推察した。

「どうしようかー?」

「そのまま行っていいだろ。逆に好都合かもな他の侵入者がいたのならな」

「そうだねー。じゃあ、行こうかー」

 2人は再びアジト内を歩き出した。

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