第27話 出発

2020年12月20日

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「さて、遺跡探索に行くが、どこの遺跡に行くかを今から決める」

 ペペロンは屋敷に遺跡探索に行くメンバーを集めて話し合っていた。エリーはアジトから発見した魔法の書の研究を行っており、ララはさっそくペペロンに代わって住民に指示を出していた。ポチはその辺で昼寝をしている。

「はいはーい。めっちゃ強い鉄で出来たドラゴンがいた遺跡に行きたい!」

 ファナシアが挙手をしながらそう言った。

「バルドーン神殿でしたっけ」

「却下だ。あそこは難しすぎる上に、ここから遠い」

「えー!」

 ペペロンが速攻で却下した。ファナシアが不満を表すように口を尖らせる。

「簡単すぎる場所に行くのも、大したものが出ないから駄目だが、最初から難しすぎる場所に行くのも、リスクが高いので駄目だ。ちょうどいい難易度の遺跡がいいだろう。それもなるべく、ここから近くの場所でだ」

 難しいとリスクが高いというのも理由の一つだが、高難易度の遺跡に行き、超1等級の魔法の書などを見つけても、最初は役に立てづらいという理由もある。

 等級の高い魔法の書は、現在の研究所では、研究するのにかなりの時間がかかってしまう。研究所にも、ただの研究所から、上級研究所、最上級研究所と、3段階にランクが上がっていく。ランクが上がれば、研究速度が早くなる。ただの研究所で、4等級以上の魔法を研究しようよ思ったら、とんでもなく時間がかかり、あまりにも効率が悪い。エリーは並外れた知力を持っているため、2等級くらいまでなら、何とかなるが、1等級、超1等級となるとやはりかなり時間がかかってしまう。
 上級研究所を作るには、拠点レベルを町以上にする必要があるため、まだ作ることは出来ない。
 等級が低い魔法にも、研究必須の魔法が複数あるので、まずはそれから習得していくのが、合理的であるとペペロンは考えていた。

「近くって言ったら、ここのスパウデン家領内の近くの、アステロッド家領内にある遺跡で、ボルフの塔とかよくないっすか」

「ボルフの塔か……」

 ガスの提案を聞いて、ペペロンは少し考える。
 ボルフの塔は難易度的に、結構難しいが、この面子なら危なげなく攻略が可能だった。魔法の書も2等級以下のものしか出てこない。
 ちなみに宝箱から何が出てくるかはランダムである。ただ、中から出てくるアイテムのレアリティは決まっていた。

「悪くないな。近くにグレイス地下牢跡もある。最初にボルフの塔に行って、次にグレイス地下牢跡に行こうか」

「それで良いと思います」

「グレイス地下牢跡には少しトラウマがあるっすね……まあ、あの時よりかかなり強くなったから大丈夫かー」

 ガスは少し身を震わせながらそう言った。グレイス地下牢跡には、まだまだペペロンもガスも弱かった頃に行ったことがある。何度も死に掛けながら、攻略した記憶がガスにはあった。死ぬたびにロードしていたので、実際は何度も死んでいたのだが。

 行く場所を決めたその時、

「ペペロン様いいでしょうか?」

 と屋敷の外からララがそう言ってきた。

「どうした?」

「リーチェとパナからお願いがあるようなので、聞いていただけませんでしょうか?」

 リーチェとパナからお願い? なんだろうかと疑問に思いながら、

「構わん。通せ」

 と聞くのを断る理由も無いので、そう返答した。

「分かりました」

 そういいながら、ララが扉を開ける。
 リーチェとパナが屋敷に入ってきた。かなり緊張したようすで2人は屋敷に入る。

「ペ、ペペロン様、お通しくださり、ありがとうございます!」

 リーチェが慌てておじぎをしながらそう言った。

「礼はいい。さっそくお願いを聞かせてくれ」

「え、えーと。その……私とパナを遺跡探索に連れて行ってくれませんか!」

「何?」

 リーチェのお願いが、予想外だったため、ペペロンは少し眉をひそめる

「だ、ダメでしょうか?」

 ペペロンの反応を見たリーチェが、不安そうに尋ねる。

「いや……そうだな……」

 ペペロンは腕を組んで考える。

 この二人の強さを見たというわけではないが、当然あまり強くはないだろう。遺跡探索は危険が伴う。弱いものは死ぬ危険がかなり高い。

 本来は連れていきたくはないのだが、ペペロンは自分と主要部下6人以外に、優秀な人材を育て上げたいと思っていた。
 それなりに危険な遺跡探索なので、死なずにやれれば大きく成長できるだろう。

 この二人に死を覚悟してでも、ついていくという覚悟とやる気があるのなら、連れていってもいいだろうと、ペペロンは思った。

「今回の探索はかなり危険だ。死ぬかもしれない。それでもついてきたいか?」

 ペペロンがそう尋ねた。リーチェとパナは少し考える間を置いて、「はい」と言いながら頷いた。

 二人の表情はなんとなくやる気のある表情に見えた。ペペロンに他人の表情から、どのくらいやる気があるのかを見切る能力などないが、何となく直感でそう思った。
 なので、

「わかった。ついてきていいぞ」

 と二人の同行を許可した。

「あ、ありがとうございます! やったねパナ!」

 リーチェはかなり喜びながら、パナの方を見る。
 パナは喜んでいるというより、かなり驚いているようだ。

「出発は3日後だ。準備を開始しろ」

 二人は返事をして、屋敷から出て準備を始めた。

 そして3日後、ペペロン達は準備を済ませた後、ボルフの塔へと出発した。

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