8.鑑定不可

2020年12月20日

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「にゃー! うにゃー!」

 レーニャが1人で魔物と戦っている。
 戦っている魔物は、ケイブウルフ、狼の魔物だ。ちなみにレベルは22/29だ。

 なぜレーニャが1人で戦っているのかというと、先ほど役に立たなかったので、今度は絶対に自分が倒す! と意気込んでいたからだ。
 そしてケイブウルフが出てきて、「この程度なら1人で大丈夫にゃ! テツヤは後ろで見ているにゃ!」と言って1人で戦いだした。

 大丈夫か? とメクに聞くと、「1体しかいないし余裕じゃろう」と言ったので、俺は後ろから1人で戦うようすを見ていた。

 少し心配していたが、無駄な心配なようだった。
 レーニャは、素早く動き敵の攻撃をすべてかわして、そして爪で攻撃を加える。
 敵に付け入る隙を与えないまま、何度も爪で攻撃し、最終的に首の辺りに攻撃がヒットし、血が大量に噴き出してケイブウルフは死亡した。

「やったー倒したにゃ!」

 倒した瞬間、レーニャが俺の方に駆け寄ってきた。

「アタシが足手まといににゃらにゃいと、分かったにゃ?」
「うん、レーニャ強かったよ」
「にゃははー」

 とニコニコとレーニャは笑っている。

「倒したから褒めてにゃん~。撫でてにゃん~」

 と言って頭を差し出してきた。

 少し迷うが、撫でる。
 レーニャは撫でられるのが本当に気に入ったようだ。

 俺も撫でるのは嫌いじゃない。
 レーニャの髪は触り心地がいいし、耳はふわふわだし、触ってて飽きない。
 なんで、結構長く撫でていると、

「いつまでやっとるんじゃ阿呆共! 遊びに来たわけではないのじゃぞ!」

 メクに怒鳴られた。

「ごめんごめん」と俺は軽く謝って撫でるのを止めた。
 レーニャは、もう少し撫でて欲しそうだったが、メクの言うとおり早く先に進まないといけない。

 俺はレーニャが倒した、ケイブウルフを吸収した。

 HP10上昇、MP2上昇、攻撃力4上昇、防御力2上昇、速さ3上昇、スキルポイント2獲得

 結構、攻撃力が上昇した。
 ただ、スキルや耐性は得られなかった。

 そして、俺達は先に進む。

 そのあいだ、結構魔物と出くわし、倒して吸収した。

 HP60上昇、MP10上昇、攻撃力15上昇、防御力8上昇、速さ10上昇、スキルポイント10獲得。
 スキル【炎玉フレイムボールLv2】が、【炎玉フレイムボールLv4】に上昇。
 耐性【炎耐性Lv1】が、【炎耐性Lv3】に上昇。

 新しいスキルをくれる魔物はいなかった。

 これで俺のステータスは、

 名前  テツヤ・タカハシ
 年齢  25
 レベル 1/1
 HP   199/199
 MP   74/84
 攻撃力 82
 防御力 124
 速さ  85
 スキルポイント 2
 スキル【死体吸収】【鑑定Lv2】【隕石メテオLv4】【強酸弾アシッドショットLv2】【雷撃サンダーショックLv2】【吸い取り糸アブソーブスレッドLv1】【炎玉フレイムボールLv.4】
 耐性 【毒耐性Lv2】【雷耐性Lv1】【炎耐性Lv3】

 ちなみにMPは一回寝て全回復した。
 その後、隕石メテオを三回使って、30減り、【吸い取り糸アブソーブスレッドLv1】を使えばMPも吸収できるらしく、【吸い取り糸アブソーブスレッドLv1】が効く魔物がいたので、そいつに使って20回復した。

 それと、スキルポイントを20消費して【隕石メテオ】を上げた。
 【隕石メテオ】が、俺の最大火力だから、上げといたほうがいいだろうと判断して、上げた。

「これなら、もう十分じゃろ。ジャイアントゴーレムにも十分攻撃が通ると思うぞ」

 メクがそう言ってきた。

「それは良かった。じゃあ、出口まで行くか」
「そうじゃの」
「にゃ~!」

 俺達は出口を目指して歩き出そうとしたその時、

 そいつが現れた。

 ガシャ……ガシャ……

 前方、少し遠くの方から、なにやら鎧を装備した男が歩くような音が聞こえてくる。

「なんじゃ? いったん止まれ」

 メクがそう指示を出した。
 指示に従い、俺とレーニャは歩くのを止める。

 俺は前方を見る。

 その前方から来るものの姿を一目見て、俺の心臓がどきりとはねた。

 真っ黒い鎧を着た騎士だ。
 ただ、それだけじゃない。

 禍々しい黒いオーラみたいなものが、騎士に纏わりついている。
 何だろう、本能的な恐怖心や、嫌悪感を掻きたててくる。

 こいつは関わっていい奴じゃない。

 本能が全力で俺に告げていた。

「な、なんじゃあいつは……」
「にゃ、にゃ~……」

 俺だけじゃなく、メクやレーニャも同じ感想を持ったみたいで、かなり怯えている。

 奴はこちらに向かって歩いてくる。

 いち早く動き出したのはレーニャだ。

 レーニャは物音を立てないようゆっくりと歩き出し、近くの岩陰に隠れた。
 俺とメクもレーニャに続いて、岩陰に隠れる。

 ガシャガシャという音が近づいてくる。

 俺は岩陰から目だけを出す。

「何をしておるのじゃ……!」

 そんな俺の行動を見て、メクが小声で注意する。
 俺は、

「鑑定してみる」

 と小声で返答した。
 恐ろしかったけど、一応正体を知りたいと俺は思ったのだ。

 そして、黒い騎士が見える場所まで来たので、鑑定してみた。

『鑑定不可』

 そう声が響いた。

「鑑定……不可?」

 鑑定した瞬間、再び岩陰に身を隠し、俺は小声でそう呟いた。

「な、なに……!?」

 メクが驚く。

「常識的な能力を大きく逸脱したものは、鑑定不可になると聞いたことがある。あれはとんでもない存在らしいな……」
「じょ、常識的な能力ってどのくらい?」
「ステータスはどんなに良くても、それぞれ9999が限度とされている。つまりはそれを超えておる能力があるという事じゃ」
「……9999!? な、なんでそんな化け物が、ここに!?」
「知らん。わしに聞くな」
「にゃ……にゃ~」

 俺はさすがにビビリまくる。レーニャも怯えて俺にしがみついてくる。
 なんでもうすぐ出られるって時にそんな化け物が?

 奴の歩く音は、ゆっくりとだが確実に近づいてくる。

「これはもはや、見つからぬよう天に祈るしかあるまいな……」

 ガシャ……ガシャ……ガシャ……ガシャ……

 音がなるたび、俺の心臓の鼓動がスピードを上げる。
 頬から汗が滴り落ちる。

 頼むこっちに来るな!

 その、俺の願いが通じたのか。
 奴の歩く音が徐々に遠ざかり始めた。

 少し待って俺は岩陰から顔を出して確認。

 奴はいなくなっていた。

「よ、よかった……」
「見つからなくてよかったの」
「……にゃ、にゃ~ん」

 今、考えれば見つかっても、殺されるとは限らないのだが、奴の禍々しい、いでたちを見てそうは思えなった。

 とにかく、安心した俺達は急いで洞窟の出口に向かった。

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