第32話 モンスターハウス
ペペロンの命令で、部下たちが一斉に動き出す。
それに遅れを取らないよう、冒険者パーティーの方も動き出した。
ペペロンは一番近くにいたファイアーバードを攻撃する。
流石にそれなりに強いモンスターなので、一撃では倒せないが、大ダメージを与える。
ノーボは魔法を使って敵を倒す。
ガスは一旦何体かの敵から注目を集め、そして攻撃を回避する。
敵の数が非常に多いので、ああやって囮として何体か引き受けると、他の者は楽になる。
ファナシアは、相変わらず一番元気だ。とにかく二刀の剣で、敵を次々と斬り裂いていく。
冒険者パーティーは、ぺペロン達の活躍に度肝を抜かれたが、黙って見ているわけにもいかない。戦い始める。
一対一では勝てないので、パーティーの連携で戦う。
「いくぞ！」
ロックの合図で、戦闘態勢に入る。
このパーティーは、リーダーのロックと、ガードのバーンが前衛。
魔法使いのメナーシと、ヒーラーのマイカが後衛を務める。
戦い方はオーソドックスで、バーンが攻撃を引き受け、ロックが前衛で攻撃、メナーシが後衛で攻撃して、敵の体力を削る。傷ついた者をマイカが、回復する。基本はバーンを回復する。
パーティーの相手は、コカトリスだ。大きな鶏の姿をした強力なモンスターだ。
長い尻尾があり、それを振り回して攻撃してくる。当たると半端な防御力では、防ぎきれない。
しかしバーンは優秀なガードだった。コカトリスの攻撃を正面から受けきる。敵がバーンを攻撃しているうちに、ロックと、メナーシが集中攻撃をする。攻撃を受けているバーンをマイカが回復。いつも通りの戦い方で、コカトリスと戦う。上手く作戦が嵌り、割と楽に倒しきった。
「よし次！」
次のモンスターと戦闘に移る。
ペペロンは冒険者パーティーのようすを、戦いながら横目で見ていた。
そこそこ使えそうではあるな、個々の力量は大したことないのだが、うまく連携が取れている。これなら役に立つだろう。ペペロンはロック達の力量を認めた。
リーチェとパナは思った通り苦戦している。
冒険者パーティーが何体か敵を引き受けているおかげで、彼女たちの援護に行くことが出来る。
ペペロンは、目の前の敵をあっさりと斬り裂いたあと、リーチェとパナの手助けをした。
そして、数分後、モンスターハウス内の敵を殲滅した。
「思ったより早く終わったな」
ペペロンは余裕を持って言う。
「アタシ頑張ったよー！ 褒めて―！」
「よく頑張った」
「えへへー」
褒めてと行ってくるファナシアの頭を、ペペロンは撫でた。
「あー、疲れた」
「あんなに強そうなのが出てくるなんて……」
ペペロン、ファナシア、ノーボ、ガスの四人は、余裕な感じだ。
しかし、パナとリーチェと、冒険者パーティー四人は、疲れているようすだった。
肉体的にも精神的にも疲れているといった感じだ。
それから、真ん中に、宝箱が出現した。
モンスターハウスを制圧すると、必ず報酬の宝箱が出てくるのだ。
そう言えば、ロック達にも報酬払わないといけないよな。ペペロンは、報酬についてうっかり忘れていた。
（今更報酬渡せないから帰れとも言えないしな。少しは渡さないといけないか。まあ、重要な奴以外はいらないし別にいいか）
重要な魔法書以外は、渡しても支障はないので、気にしないことにした。
宝箱を開けると、金になる物はあったが、魔法書は出てこなかった。
「ハズレか」
「えー？ ダイアモンドあるよ？ これ物凄く高く売れるよ」
ロックが中にある宝石を見ていう。
「金になる物も欲しいが、私が欲しいのは、魔法書だ」
「あー、レアな魔法書が欲しいのか。中々出ないからなあれ」
「この宝箱の中身は半分やろう」
「え！？」
ロックは驚く。
「いやいや、駄目だよ。俺たち倒した敵二、三体だし！ これだけでいいよ」
中にあった宝の中でも、一番安い宝石を取る。
「そうか」
結構、謙虚な奴なんだなと、ペペロンは意外に思う
残りの宝は全部持つ。そして、敵を倒した後に、出現する転送陣の上に乗った。
ここに乗ると上階に行けるようになっている。
ぺペロン達は、四階に転送された。
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