第二十一話 偽物?

2020年12月20日

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 マナはカフスについていき、ジェードランとケルンが話している部屋まで向かう。

 どうやら応接室で会話をしているようだ。

 カフスが小声で、

「ケルンの見た目に騙されぬよう注意してください」

 とマナに警告をした。

 悪女のような見た目をマナは想像していたが、それを聞いて違うのかな? と考え直す。

 応接室で会話をしていたジェードランが、「失礼、少々お手洗いに。そのままで結構です」と離席理由としては、よく使われている手を使い、席を外し、部屋を出た。

「今すぐ入るんじゃないぞ。怪しまれるからな」

 ジェードランはマナに警告する。

 マナは一分ほど待って、応接室へと入った。

「あら? 可愛いお嬢さんね。どうしたの?」

 部屋に入った瞬間、優しく声をかけられた。

 声の主を確認してみると、小さい童顔の女性がいた。

(この人がケルンか)

 顔も幼く、体付きも小柄だ。身長は140㎝半ばしかないように見える。
 膨らむべきところが膨らんでおらず、ぱっと見十代前半に見えなくもない。
 翼も二枚だけだ。

(まあ、領主をやってるくらいなんだし、そんなに幼くはないだろうけど……でも予想外だね)

 カフスの見た目に騙されるなという意味を、ケルンを見て思い知った。

 どんな見た目であれ、ケルンを魅了しなくてはならない。
 マナはケルンの瞳を見つめて、情報を入手する。

 名前 パラソマ・トレーヴ 15歳♀
 好感度0 好きなタイプ 騎士 好きな物 甘い物 趣味 園芸
 性格 優しい性格 

(え? パラソマ? ケルンじゃないの?)

 ジェードランが勘違いして連れてきたの? とマナは思う。

「どうしたの? 私の目をじっと見て。もしかして迷子?」

 じっと黙って見つめていたので、迷子だとマナは思われたようだ。

「あなたはだれ?」
「私はケルン・プラネットよ。あなたは?」
「アタシはマナです」

 名乗りながら、やっぱりケルンなのかと、内心マナは思った。

(どういうことだろう。ケルンの本名がケルンじゃなかったのか、この人はケルンじゃなく身代わりか何かなのか……優しい性格ってのが気になる。ケルンって人は凄い腹黒だってジェードランとカフスは言ってたけど……間違っている可能性もあるけど……うーん……)

 彼女がケルンなのかどうなのか、マナは考えるが、考えるより魅了する方が速いと気づいた。
 今質問しても本当の事を教えてくれるか怪しいが、魅了したら全て話してくれるだろう。

(悪印象を持たれてる感じじゃないし、まずは雑談してから魅了しよう。カフスとかジェードランの時と、おんなじやり方だね)

 マナはそう決めて会話を始めようとしたら、向こうから話しかけてきた。

「マナちゃんは人間なんだ。この城に住んでるの?」
「はい」
「礼儀正しい子だね、偉いねー」

 完全にマナを子供扱いするケルン(?)。
 見た目は子供でしかないので、当然の対応なのだが。

「ジェードラン様を待ってるんです。一緒にお待ちしていいですか?」
「うん、いいよ」

 大事な話をジェードランは持ちかけていただろうから、追い出される可能性もあったが、一緒にいていいと許可が出された。

 マナは応接室の椅子に腰を掛けて、それから無難にケルン(?)を褒めてみた。

「ケルンさんは、凄く頭がいい人だってジェードラン様が言ってました。アタシ、尊敬します」
「あら、ありがとう」

 優しく微笑んで、ケルン(?)はお礼を言った。

(あ、好感度上がった)

 0→30に上昇した。

(彼女がケルン本人じゃないなら、ケルンの事を褒めて好感度上がるのっておかしくない? カフスみたいに、仕えている主への忠誠が厚い人って可能性もあるか)

 好感度が上がったので、彼女がケルン本人であると一瞬思ったが、マナはそうでもないと思いなおす。

「ところでマナちゃんは何でここに? あなたがこの城に人質として閉じ込められている人間のお姫様なのかな?」
「知ってるんですか? アタシの事」

 一部の貴族しか知らないという話であったが、ケルンには情報が行っているようだ。

「ええ。私は情報を集めるのが得意なの」

 ケルン(?)は微笑みながらそう言った。

「ジェードラン様、遅いわね。まあ、いいわ。私、マナちゃんに興味があるな。もっとお話ししない?」

 向こうからそう提案してきた。
 好感度が上がったことで、ケルン(?)はマナに興味を抱いたようだ。
 もっと話をするというのは、マナにとってもいい話であるので、微笑みながら「はい」と頷いた。

 それから雑談を交わす。

 マナが何か尋ねるというより、向こうが積極的に色々質問をしてきた。
 ただ、質問に答えていると、特にケルンを褒めたりしなくても、好感度が少しづつ上昇していった。
 答えてくれたのが嬉しかったのか、もしくは答えた内容が良かったのか。

 どちらにせよ、特別マナから質問を投げかけることなく、ケルン(?)の好感度は150まで上昇した。

(これなら、疑問に答えてくれるかな?)

 そう思い、マナは質問した。

「あの、あなたはケルンさん本人なんですか?」

 ケルン(?)はその質問を受けて、数秒沈黙をした。
 そして、

「違うわ」

 そう言った。

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