第三十話 会う

2020年12月20日

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(パラソマとほとんど同じ顔! 多分ケルンだ! 会いたいってお願いは通ったんだ)

 マナはケルンの情報を調べてみる。

 名前 ケルン・プラネット 21歳♀
 好感度171 好きなタイプ 頭の良い人 好きな物 レアな物 趣味 盤上遊戯
 性格 計算高い 自信家

(なんか思ったより好感度あるんだけど。最初そんなに上がってたの? でも、それならば、牢に後戻りすることもなかったはずよね?)

 200までは上がっていないが、171もあればある程度お願いを聞いてくれそうだとマナは思った。

(会っていない間になんか知らないけど上がったのかな? そういうこともあるの? この人ジェードラン並みにチョロインじゃないんだろうか)

 マナはそう推測した。

 服装を見る限るやたら気合の入ったドレスを着ているので、もしかして会うために準備したのかと思い褒めてみる。

「ケルンさん、そのとてもきれいだね」
「そ、そうじゃろう、そうじゃろう。お主に会うから準備したのじゃ」

 かなりケルンは嬉しそうに頬を赤く染めてそう言った。

 それで好感度があっさり200へと上昇。
 やはりかなりチョロイとマナは確信を持って思った。

「って、そうじゃない! こ、これはどういう状況なのじゃ! サイマスが抑えられており見知らぬ者が二人……いや……よく見ればお主はジェードランじゃな!」

 ケルンは状況が分からず混乱しているようだ。

 マナは全て説明する。

「そのサイマスって人がアタシを殺しに来て、そこを二人が助けに来たの。何でこの二人が来たかは、予想できるでしょ?」

 ケルンは、マナがジェードランたちを魅了したという情報を得ているので、理解は出来ていた。

「貴様がマナ様を攫ったケルンか! 万死に値するぞ!」

 ハピーがケルンを憤怒の形相で睨み付ける。

「サイマス! お主姫を殺そうとするとは、何ということじゃ!」
「ええ!? 万死に値するとか言われているのに、俺に注意するんですか!?」
「あんな頭の悪そうな女は無視で良い。お主はわしに背いたのじゃぞ!? しかも、姫を殺そうなどと、何と恐ろしい……」
「背いたのは申し訳ありません……しかし、俺はケルン様のためを思い……」
「誰が頭の悪そうな女だ! 斬り殺してやる!」
「ちょっとやめなさいハピー!」

 場が混乱してきた。

「あー、アタシは特にサイマス? には怒ってないから、そんなに攻めなくていいし、ケルンも良くしてくれたから、怒る必要もない。おk? アタシはただこの城のあるっていう図書館に行きたいだけなの!」

 面倒になってきたマナが、本音を叫んだ。

 ハピーはケルンが良くしてくれたとマナが言ったので、少し怒りが収まってきたようだ。

「姫が怒っておらぬというのなら、別にええがのう……ところで、図書館に行きたいとお願いするのが、わしを呼び寄せた理由か?」

 実際は違うが、マナは頷いた。

「図書館くらいいくらでも見てよいぞ」
「ま、待ってくださいケルン様! 図書館は重要な情報もたくさん治め得られております! 部外者に見せるわけにはいけません」
「それもそうじゃが。姫は何を知りたくて図書館に行くのじゃ?」
「世界の神殿について詳しく調べたいの。ほかの情報は見ないって約束するよ」
「ならいいじゃろ」
「う、嘘ですよ! 神殿なんて興味ある幼女なんてこの世に数人しかいませんよ!」

 確かに傍から見れば、神殿を調べる理由は思い浮かばないだろうなとマナは思う。

「わしは姫を信じる。お主は姫が怒らぬと言ったから、処罰を免れたのに、恩をあだで返す気か?」
「ぅ……」

 そう言われたら、サイマスに返す言葉はなかった。

「じゃあ、わしは図書館を開かせに行く。侵入者撃退用の罠を解除したりせねばならんから、すぐには入れんようになっておるのでな。少し待っておれ」

 ケルンはそう言って、部屋から出ていった。

 一連の流れを見ていたジェードランが口を開く。

「何はともあれ、神殿について調べられそうで良かったじゃないか」
「うん、二人とも助けてくれてありがとね」

 マナに褒められて、ハピーは満面の笑みを浮かべ、ジェードランは逆に険しい表情をしたが、内心幸せに満ち溢れていた。

「あの……マナ様……褒美を頂いてよろしいでしょうか?」

 嫌な予感を感じたが、助けてくれたのは事実なので褒美を上げることにした。

「何が欲しい」
「頭を……撫でてほしいのです……」

 今までの変態的な要求から考えると、まともな要求が来たと思い、マナは頭を撫でた。
 だが、物凄く鼻息を荒くして、「はぁはぁ……これで幸せが頭から全身に駆け巡って……私の魂まで響き渡り、そして…………」と気持ち悪い呟きをし始めたので、速攻頭から手を離した。

「ジェードランは何かいらない?」
「俺はいらん」
「撫でてほしくない?」
「ない!」

 と言いながら頭を突き出してきた。
 相変わらず素直じゃない奴だと思いながら、マナはジェードランの頭も撫でた。

「ふん、人間の子供によくもまあ、そう手なずけられたものだな」

 サイマスが憎まれ口をたたく。ジェードランは痛いところを突かれたので、何も言い返せない。

 ハピーは逆に、

「いいか? 幼い子供というのは世界で一番尊い存在で、その上、マナ様はこの美しさ。この世の全てを統べる、神秘的な存在なのだ。そのマナ様の神秘が理解できない貴様は、愚か者であり…………」

 と長々と説教を開始した。

「こいつはどうするんだ? お前に従っていないようだが」
「うーん……」

 マナは考える。

(今からでも魅了するか。ある程度好感度は上げておこう)

 マナはサイマスの目を見つめて、情報を見る。

 名前 サイマス・ドッドル 19歳♂
 好感度-50 好きなタイプ 頭の良い者 好きな物 花 趣味 盤上遊戯
 性格 主思い 直情的

(好感度低ッ! 当たり前か……)

 これはそう簡単に上げられないなとマナは思う。
 少なくともケルンが戻ってくるまでは、難しそうだ。

 とにかく、自分は害意はないということだけは分かってもらおうと思った。

「あなたからすれば、主を狂わせたアタシは憎いでしょうけど、別に害意があるわけじゃないの。これは信じてほしい」

 そう聞くとサイマスはため息を漏らした。

「元々お前を連れてきたのは、ケルン様の野望のためだ。だからお前を憎むなどとは筋違いだ。……ケルン様がお前を信じるというのなら、俺もお前を信じるべきだろう」

 好感度がー50から0へと上昇した。

 嘘も言っていないとマナは直感で思い、解放していいと判断した。ジェードランとハピーに拘束をやめろと命令する。

 心配だった二人は、渋々拘束をやめた。

 サイマスは嘘はついておらず、マナに襲い掛かってくるようなことはしなかった。

 それから数分後、ケルンが戻ってくる。

「準備が出来たぞ。案内するから付いてくるのじゃ」
「うん」

 ケルンの後を付けていく。

 すると、

「ケルン様。飛王の動向ですが、定例報告です」

 ケルンの家臣がそう言ってきた。
 マナは疑問に思い尋ねる。

「なに定例報告って」
「この国で一番の権力者は飛王じゃからな。奴の動き密偵に調べさせ、定期的に報告させておるのじゃ」
「ふーん、頑張ってるんだね」

 マナは最初はそれほど強い興味を抱かなかった。

「"ポーラハム神殿"へ自ら少数の兵を率いて出陣したようです」

 だがその言葉を聞いた時、脳内を雷が迸ったような衝撃が貫いた。

「ご苦労……ほう、ポーラハム神殿ね」
「――――――――そこだ」
「ぬ?」

「アタシが行かなければいけない神殿は……ポーラハム神殿だ!!」

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