第三話 ダンジョンマスターとは?

2020年12月26日

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「ダンジョンマスターとは、ダンジョンを運営する者の事なのです! ご主人様はダンジョンに関する基礎知識は持っているですか?」
「えーと、魔物が湧いてくる洞窟でトラップとかも設置してあって、ラスボスを倒したら魔物が出なくなる。そんで宝とかがよく落ちてる。 そのくらいかな?」

 ユーリの質問にリックは答えた。
 リックは勇者パーティーのメンバーとして、
 何度もダンジョンに行っていたため。
 ダンジョンについてある程度、知識があった。

「すごいのです。結構知ってるのですねご主人様」
「そこそこ行ってたからね」
「そうなのですかーじゃあ、まずはダンジョンマスターとして絶対に知っておく必要がある事を教えるのです!」
「何だろうか」
「それは"ダンジョンポイント"略して"DP"なのです!」
「ダンジョンポイント?」

 リックにとって初めて聞く単語だ。

「ダンジョンポイントはダンジョン精霊が作り出す不思議な力のことなのです。DPを使うと魔物を生み出したり、罠を張ったり、ダンジョンを大きくしたりできるのです。生物がダンジョン内で死んだ場合DPは増えるのです。生物の強さによって、増えるポイントが変わったりもするのです」
「へー」
「契約時にボーナスとして1000DPが貰えるのです! ご主人様にこれを元手にどんどんDPを増やして、ダンジョンを強くして欲しいのです!」
「ダンジョンを強くかぁ……」

 リックとしてはそう言われてもあまりピンと来ない。
 ダンジョンマスターになったのもあくまでユーリを助けるためで、別に進んでなりたかったわけではない。
 契約を破棄したいわけではないが、
 ダンジョンマスターとしてやる気があるわけではなかった。

「一つ聞きたいんだけど、そのDPはさっき言ってた用途でしか使えないのかな? 欲しいものをDPを使って手に入れるとかはできないかな?」

 リックとして気になるのはこの部屋にはあまりにも何もないという事だ。
 錬金術の研究を行いたいのだが、色んな材料を使う必要があるため、
 材料が手に入らないのはかなりまずい。

「あ、さっき言った魔物とか罠とはダンジョンを強くする為に必要な代表的な物ってだけで、大体の物はDPを使えば手には入るのですよ。ご飯もDPを使えば食べられるのです」
「そうなんだ。それは良かった」

 ユーリの返答にリックは安心する。

(でも錬金術に使用できる材料が手に入るとなると、意外といい環境なのかも?)

 リックはそう思う
 この大きな部屋をアトリエとして改装できれば、好きなだけ研究ができそうだし、
 ダンジョンマスターというのも意外と悪くないと思い始める。

「DPはどうやって使うの?」
「それはこれを!」

 ユーリがそういいながら手をパンと軽く叩く。
 するとボンッと音を立てながら、
 少し厚い本がユーリの手元に出現した。

「それは?」
「これはカタログみたいな物なのです。何かを手に入れる際に必要な消費DPが書いてあるのです。それを見て私に欲しいと言ってくれれば、DPを消費してすぐに作り出すのです」

 ユーリはカタログをリックに渡す。
 リックはカタログをペラペラとめくって読む。
 魔物の卵と罠などは需要が大きいのか、最初の方のページに大きく書いてあり、
 それ以降のページにはこまごまといろんな物が書いてある。

「これ探すのめんどくさいね」
「大丈夫なのです! 特定の何かがほしい場合はその物品の名前を言えば、自動的にその物品が書いてあるページまでめくるという便利な機能が付いているのです!」
「そうなんだ。じゃあ試しに『ミルネ草』」

 さっき採っていた薬草の名前である。
 リックが言った瞬間、
 ペラペラとページがめくられ。
 真ん中までめくったあたりで止まる。

「えーと……あったミルネ草! これは便利だねー10DPかさっそくこれを……」
「えー! ちょっと待つのです! 最初に作るのは魔物とかにするのです!」
「魔物……」

 リックとして正直、魔物を作るのは人間として抵抗がある。

「魔物を作らないとダンジョンにならないのです。すぐやられてしまうのです!」
「うーんでも、魔物作るから人間は攻略しにくるんじゃ……」
「人間が来るのは宝を取りに来るためなのです。宝は人間をおびき寄せるために何をしても絶対に発生するようになってるのです。止められないのです」
「そ、そうなの?」
「それに人間だけじゃないのです。魔物や魔獣が、精霊である私の高い生命力を狙って、どんどん外から攻めてくる事もあるのです」
「え? ダンジョンって魔物が攻めてくるときあるの?」
「ダンジョンから作り出された魔物や魔獣はマスターの命令に絶対服従するようになっているのですが、外から来たのは別なのです。ご主人様はダンジョンで魔物同士が戦っているところを見たことがないですか?」
「うーん……そういわれると見たことあるかも……仲たがいしたのかと思っていたけど」
「そんなわけでダンジョン運営は容易くはいかないのです!」
「うーんそうなのか……」

 リックは正直めんどくさいことになったなと思った。

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Posted by 未来人A