第二十二話 ダンジョン強化③

2020年12月26日

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「ぱんぱかぱーん! ダンジョンランクがDに上がったのです! そんでCにももうちょっとでなれるのです!」
「おおDランクか!」

 アレン達を倒した後、ダンジョンのランクが上がった。

「アレン達を倒して、何ポイントくらい入ったんだろう」
「えーと、最初に死んだ二人の分は使ったので除いて……8万5000ポイントなのです!」
「そんなに!?」

 大量にポイントが入って、リックは驚く。

「Dランクになったら、新しいことがいろいろできるようになるのです。まずDPを使って、ダンジョンから魔物を出せるようになるのです」
「それは前も言ってたね」
「Dランクでは、最大10体の魔物を3時間まで出すことができるのです。1体外に出すのに300DPかかるのです。出せる時間が少ないので、あまり役には立たないかもなのです。ランクが上がれば、出せる時間も増やせるのです」
「今はそんなに使えないのか。一つ聞きたいけど、僕が外に出る事って可能なの? 僕は基本、部屋にこもっててもいいんだけど、それでもたまには、外に出たいと思う時もあるからさ」
「ご主人様が外に出ることはできないのです。ですが、擬似的に外に出ることはできるのです」
「どうやって?」
「『マスター憑依』を使うのです。これもDランクからできるようになる事なのです。DPを使って一定時間、魔物に意識憑依する事が出来るのです。魔物の視点になれて、魔物を自由に動かせるようになるのです。憑依した魔物が死んでも意識はちゃんと元の体に戻るようになっているので、安心するのです。痛みは感じると思うのですが」
「へーそんな事も出来るんだね。他にも新しい事が出来るようになってるの?」
「はいなのです。ステータスを見られるようになる『鑑定』が使えるようになるのです。これでスキルも見られるので、ご主人様の持つスキルも判明するのです。ただ消費DPが1回2万と多いので、後でする事をお勧めするのです」
「スキルがわかるんだ。確かに2万は多いね。あとにしよう」

 リックはその他の新要素をユーリから聞いた。
 聞いた要素は以下の通り。

・横に部屋を作る

 普通縦に作る新部屋を横に作る事ができる。
 縦に作る部屋より低DPで作れるが、攻略者の妨げにはならないので、ダンジョンサポート用の建造物を作るのが良さそうだ。

・魔物訓練所を建造する事ができるようになった

 ここにしばらく魔物を住まわせて、訓練させると、魔物が精鋭になる。5000DPで作れる。

・フィールド強化

 DPを消費して、フィールドの効力を上げることが出来る。
 例えば迷路に使うと、より複雑な形の迷路になる。

・大型ビルベシュ養殖場

 10000DPで大型のビルベシュ養殖所を作れるように なる。1ヶ月で2000DPの収入が入る。

・効率アップ

 DPを消費して、その部屋にある、ビルベシュ養殖場や魔物訓練所などのダンジョンサポート用建造物の効率を上げれる。

・壁、床、天井を変更する

 DPを消費して、土で出来ている壁、床、天井を石にする事ができる。
 ランクが上がれば変更できる材質の数が多くなる。

・ダンジョンマスター部屋拡張

 DPを消費して、ダンジョンマスターのいる部屋を大きくする事ができる。

「いっぱいできることが増えたね。ありすぎて迷うな。とりあえず今回大量に魔物が死んじゃったから、魔物を作ろうか」
「そうするといいのです。ただ全部は使わないほうがいいのです。半分くらい残しておいたほうが良いと思うのです」
「分かった」

 リックは、DPを使いBとAランクの魔物を50体作った。
 22500DPを消費する。
 Aが20体、Bが30体。
 部屋に入りきらないので、何体か3階に送った。

「前の戦いで一つ思ったんだけどさ。やっぱりクルスみたいなSSランクの魔物がもう1体いてくれたほうが、いいと思うんだよね」
「そうなのですね。SSランクの魔物が2体いれば、かなり心強いのです」

 リックが合成の準備をしていると、クルスが、

「お、合成するのか。わしも手伝うのじゃ」

 そう言った。

「うん、お願い」

 リックは頷いて、合成を始めた。

 合成に必要なDPは3000。
 必要なものを作り、Aランクの魔物同士で合成を行った。

 出来たのは、エンペラースライム(超巨大スライム)、Sランクの魔物だ。

 エンペラースライムを1階に配置して、もう一度合成を行う。

 次に出来たのはキングトレント(ハイトレントの最上位種)。
 キングトレントは2階に配置した。

 この後、2回合成を行った。
 出来たのは、アラクネの上位種、エルダーアラクネと、手が大量についている巨人ヘカトンケイルができた。
 どちらもSランクの魔物だった。

 エルダーアラクネは2階に、ヘカトンケイルは3階に配置した。

「どれも強い魔物だけどなー」
「SSランクではないのですね」
「うーん。SSランクはかなり低確率でしか出ないのかなー? もういっかいやってみるかー」
「ぬー。結構時間がかかって面倒なのじゃ」

 作り始めてから大分時間が経っていた。

 リック達は5回目の合成を行った。

 壺の中に水と溶解液を入れて、魔石を取り出したAランクの魔物2体入れる。

 しばらく待ち、壺の中に入っている液体の色が変わった瞬間、魔石を投入した。

「次こそ来てくれないかなぁ」
「何が出来るかのう」

 ぐるぐると壺の中の液体が渦を巻き始める。
 そしてボフッと煙が立ち込め、壺が割れる音が響く。

 煙が晴れ、出来上がった魔物が姿を現した。

「これは……」
「ドラゴン……なのです?」
「おっきい龍じゃな」

 ファイアードラゴンより、一回り大きなドラゴンが合成で出来上がった。

「これはなんてドラゴンなんだろう?」

 ドラゴンは全体的に白い色で、凛々しい顔立ちをしている。
 リックはダンジョンにて、何種類かのドラゴンを見て来たが、このドラゴンは一度も見たことが無かった。

「私も知らないのです」

 ユーリも知らないようだった。

「ふぬ。見る限り、とてつもない力を秘めているようじゃな」

 とクルスが言う。
 とてつもない力? とリックがクルスに尋ねようとしたその時、

「ここはどこっすか〜? いったい何が起こってるんすか〜?」

 聞き覚えのない声が、頭上から聞こえる。
 リックはまさかと思って頭上を見上げると、

「あなた方は誰なんすか?」

 間違いなく、ドラゴンが喋っていた。

「喋るドラゴンって……」

 ドラゴンは基本的に知能が低いので、喋ることができない。
 ただ、稀に喋れるドラゴンがいる。
 そのドラゴンは人間並みかそれ以上の知能を有しており、知能だけじゃなく強さも並外れて高いと言われていた。

「『エンシェントドラゴン』……SSランクの魔物なのです……」

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Posted by 未来人A