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第5話 始動

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「まず、最初にやらなければならないことが3つある。何か分かるか?」
 
 指を三つ立てながらペペロンは言った。
 
 自分の意図とは裏腹に、この地にグロリアセプテムを蘇らせ世界を侵略する、という目標を掲げてしまったぺペロン。こうなってしまっては仕方ない。自分の持っている攻略情報をフル活用して、頑張っていくしかないと決意し、部下達と一緒に、最初の行動方針を打ち立てる事にした。
 
「まずはお金稼ぎですかねー。それから水、食料集め、建築資材集めもやっておいた方がいいでしょうね」

 エリーがぺペロンの問いに真っ先に答えた。

「その通りだ。さすがエリー」

 賢魔族である彼女は知力がかなり高い。ぺペロンの部下の中でも1番高かった。
 ゲームでは、知力がいくら上がってもAIが向上するという事はない。あくまで、読める本の幅が広がったり、魔法攻撃力や防御力が上がったりするだけだった。だが、現実となった今では、知力が高ければ頭もよくなっているのだろうとぺペロンは予測する。
 よくよく思い出せば、知力をあまり上げていなかったものは、喋り方が少しお馬鹿っぽい。

「金は何をするにも必要になる。早めに大量に稼いでおくべきだ。水、食料の必要性は言うまでもないだろう。食べなくては死ぬ。そして、資材を集めて建築をすることで拠点は発達していく。これも当然大事であろう」

「ではどうしましょう。役割を分けますか?」

「三組作ってそれぞれに仕事を割り振る。どういう割り振りにするかだが……」

 その後ぺペロンは、部下たちと話し合って組み分けを開始する。

 話し合った結果、ファナシア、ガスが水、食料集め、ポチ、ノーボが資材集め、ぺペロン、ララ、エリーが金稼ぎをすることになった。

「組決めはこれでよろしいと思いますが、全員が外に出て大丈夫でありましょうか? 拠点の防衛をする必要はございませんか?」

 ノーボが質問してきた。ちなみにノーボは基本的に知力の低い巨人なのだが、知力がエリーの次に高い。ぺペロンは意外性のあるキャラを作りたかったので、知力を集中して上げた結果そうなっている。

「この拠点には何もないから問題あるまい。小屋が壊される可能性もあるが、この程度の小屋はまたすぐ建てられる」

 実際は、小屋が壊されるのは少し痛いが、何もない小屋が壊される可能性は低いし、働き手を一人減らすのも痛いと思ったので、拠点がある程度発達するまでは、拠点には誰も置かないことにした。

「では、各々行動を開始するのだ」

 ぺペロンが出した合図とともに、部下達がそれぞれに割り振られた仕事を開始した。

 ○

 金稼ぎ組以外は仕事を開始し、拠点に残っているのはぺペロン、ララ、エリーの三人だけとなった。

(さて、俺の役目は金稼ぎだけど……どうしようかなー)

 具体的にどうやって金を稼ぐか、ぺペロンは考える。
 ゲームでの初期の金稼ぎのセオリーは森などに行き、落ちているキノコだとか木の実だとかを拾って町で売ったり、初期状態でも倒せる弱い敵を倒して、そいつが落とす素材を売ることだった。
 ある程度元手を稼いだら、町で物資を買い、物資を買った値段より高く売れる町で売り、金を稼いでいた。ある程度、大金を稼ぐまでは兵を雇えないので、街道でたまに出くわす盗賊などには勝てず、ここでかなり死ぬことになる。

 ただ、これはあくまで完全な初期の状態から始める場合の金策であって、ステータスがかなり高い状態から始まっているぺペロンは、別の方法で金を稼ぐことが出来る。

「確かここから南西に方向に、サイクロプスの巣があったな?」

「そういえばありましたねー」

「ぺペロン様がかっこよくお倒しになられたのを覚えておりますわ」

 ララは何かを思い出して、うっとりしているような表情を浮かべる。
 サイクロプスは巨大な一つ目のモンスターだ。非常に強くそう簡単に倒すことはできない。
 マジック&ソードの世界には、ボス級の強力なモンスターの巣が各地に設置されていた。初心者が間違えて挑んでしまうと瞬殺されてしまう。プレイヤーたちの間にはトラウマになっている者も多かった。
 ものすごく強い代わりに、巣にはレアなアイテムが大量に入っている宝箱があり、それを売るとかなり金を稼ぐことができる。

「この世界が昔の状態に戻ったのであるならば、サイクロプスの巣もあるだろう。我々のステータスが変わっていないのなら、サイクロプスを倒すのはそこまで難しいことではない」

 魔法が初期の物しか使えないという不安要素もあるにはあるが、それを考えてもサイクロプスなら倒せるとぺペロンは考えた。

「いい案でございます。さすがぺペロン様です。では早速向かいましょう!」

 ぺペロン達は、意気揚々とサイクロプス退治に向かった。

 南西にサイクロプスの巣はある。
 ぺペロンはこの辺を、ゲームで散々歩いたのでかなり土地勘があった。現実となりリアルさが増しているが、地形に変化は一切ない。
 しばらく歩くと、骨がゴロゴロと転がっている地帯にたどり着く。
 かなり不快な気分にさせる異臭が立ち込めている。何かが腐ったような臭いだ。
 この辺りがサイクロプスの巣がある場所だ。骨はゲームでも転がっていたが、臭いは感じない設定でゲームをやっていたので、こんな腐敗臭がする場所だとは知らなかった。
 
 しばらく歩くと、巨大な土づくりの家が見える。これがサイクロプスの住処だ。
 ぺペロン達は躊躇せず、住処に侵入していく。

「いた」

 その住処の中に、ゲーム時代よりリアルさを増した1つ目の巨人のモンスター、サイクロプスが座っていた。

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