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6話 オーク来訪

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(さて、きょうの練習で全盛期の十分の一ほどの保有魔力になる。これだけあればたいていの魔物はいとも簡単に葬り去れるだろう)

 ベラムスはひとりになれる場所に行き、いつもどおり保有魔力を増やす練習を開始した。

 きょうの練習が終わったら、当初の予定通り強力な魔物を倒しにいくとベラムスは決めていた。

 そして、ライトを使い練習を開始した、が、一度魔法を使ったその瞬間、

「ベラムスーなにやってんダー!」

 今世ではもっとも聞いた声、デラロサの声が聞こえてきた。

 デラロサに見つかり、しまった、とベラムスは思う。
 練習をひとりでやることにしている理由は、見つかって、変に騒がれると練習効率が落ちるからだ。

 特にデラロサに見つかると、めんどくさそうなので、見つからないよう気をつけていた。今回ベラムスは少し油断していたようだ。

「今のピカピカなんなノー?」

 無視はしたくないので、いったん練習をやめ、質問に答える。

「魔法だ」

 正直にいった。

「マホウってなニー?」
「簡単にいえば、不思議な現象を起こせる力のことだ」

 いい加減な説明をするのが嫌いなベラムスだが、ここはわかりやすいように説明した。

「へー。アタシも使いたイ!」
「現在のデラロサでは使えるようにはなれないな」
「エー! どうしテ!?」

 理由を説明しようか迷う。
 デラロサが現状魔法を使えない理由は、ゴブリンの保有魔力量が少なすぎるからだ。初歩中の初歩の魔法であるライトすら使えない。

 ゴブリンが魔法を使えるようになるには、“進化”する必要がある。

 すべての魔物は条件を満たすことで、進化することが出来る。
 進化をした魔物は姿かたちが変化し、さらに能力が飛躍的に上昇する。

 ゴブリンはホブゴブリンへと進化することができる。

 ホブゴブリンになると、背が高くなり、容姿も人間に近づく。さらに身体能力が飛躍的に上昇し、保有魔力もかなり増え、魔法が使えるようになる。

 ただ、ゴブリンからホブゴブリンに進化するための条件はかなり難しく、自然にゴブリンが進化することは滅多になかった。

 ベラムスは条件を知っており、ここのゴブリン達をホブゴブリンにしたいと思っていたが、保有魔力量を増やしたあとでないと難しそうなので、増やしてからやる予定だった。

「後で使えるようにしてやるから、今は我慢してくれ」

 ベラムスは、なだめるようにいった。

「今使いたイ! ベラムスだけずるいゾー!」

 とデラロサは駄々をこね始めた。
 前世では自分の子供がいなかったため、あまり子供の相手は得意ではないベラムス。

 どうやってなだめようか考えていると、

「大変ダー!」

 村のゴブリンの一体がそう叫んだ。

 なにがあった? とベラムスは声が聞こえた方向に、反射的に視線を向ける。

「オークダ! オーク達が来やがっタ!」

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