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第25話 これから

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 ペペロン達は、リーチェと新しい配下達を連れて、村に戻った。

「リーチェ!」

 姉であるルーシーが、感激した様子でリーチェに駆け寄り、そして抱きしめた。

 ほかのエルフたちもリーチェに駆け寄っていく。
 皆、リーチェの無事を心の底から喜んでいた。

「おかえりなさいませ、ペペロン様」

 ノーボがそう言いながら、近づいてきた。

「留守番中、何事もなかったか?」

「途中、賊が攻めて来たりもしましたが、難なく撃退したため、怪我をしたものなどは、1人もおりません」

「そうか。ノーボ、苦労をかけたな」

「ペペロン様のためなら、苦労などありません」

 ノーボは頭を下げながらそう返答した。

 その後、エルフたちがペペロンの元に集まってきて、

「ペペロン様、ありがとうございます……リーチェを救ってくださって……」

 とルーシーが目に涙を浮かべながら、お礼を言ってきた。

「礼などいらん。配下を助けるのは、主人としての義務である」

 実際には税率を下げるという別の目標があったが、あたかも配下思いの主人であるということを演出しながら、ペペロンは言った。
 エルフたちは、そのことを知らないため、尊敬の眼差しでペペロンを見つめている。

 その後、ペペロンは新しい配下たちを紹介した。
 エルフ12人、ゴブリン34人、ハーピィー22人、賢魔4人、巨人6人、コボルド25、小人はパナが1人、計104人が配下に加わった。これで全人口が182人となった。町となるには500人以上、村人が必要となるため、まだまだ遠いが、かなり前進したことは間違いない。

 ペペロンは新しい配下たちに向かって、

「この村にいる限り、お前たちは衣食住を得ることができるだろうが、無条件ではない。働いてもらう。当然BBCのように理不尽な労働ではない。この村は発展途上であり、働き手が未だ足りないような状況だ。なので一人一人が協力して暮らしていく必要がある。皆の働きに期待しているぞ」

 そう言った。

「なあ、あの……」

 少し遠慮がちに手を挙げたのはパナだった。

「質問か?」

「そうなんだけど……ここにいる種族って、エルフとかゴブリンとか……皆、弱い種族だよな。あんた達が強いのはよくわかったけど、でもそれ以外が弱かったら、すぐ滅ぼされちまうんじゃないのか……?」

 パナは少し不安そうに質問した。彼女はいつも気丈に振る舞っているが、珍しく不安そうだった。せっかく出られたのにまた奴隷になるかもしれないと思うと、パナも気丈に振る舞うことなどできなかった。

 パナの質問を他の新しい配下達が聞いて、少し騒つく。
 ここにいるもの達は皆、自分たちの種族的な弱さをBBCに奴隷にされた時に思い知っていた。
 皆、パナの言葉を聞き、不安を覚えていたのだ。

 ペペロンはその様子を見て、何を言おうか少し考える。

 そして、ペペロンはこの場で言うべき言葉を考え終え、口を開く。

「 確かに我々の種族は決して強くはない。しかし、私やララ達を見てわかるように、鍛えれば強くなれる。決して私たちが特別なのではない。この場にいるものすべて、強くなることができるのだ。皆が共通の目的を持ち、強くなるための正しい研鑽を積むことができれば、決して他の種族達にも負けない力を持つことができる」

 ペペロンは堂々とした態度で、一言一言丁寧に言葉を紡ぐ。

「そして我々が持つ共通の目的とは、世界で蔑まされ、奴隷とされている、小人、エルフ、ゴブリン、賢魔、巨人、ハーピィ、コボルドの7種族の地位の向上である。劣等7種族などと二度と呼ばせないようにすることである」

 高いカリスマ性を持つペペロンの言葉を、聞き逃さないように配下達は真剣な表情で聞いていた。

「強くなることには多少の苦痛が伴う。楽に強くなどなれるはずはない。しかし、その時は今まで受けてきた屈辱、恥辱を思い出して欲しい。その屈辱、恥辱を与えてきたもの達を見返すことが、いかに痛快な事か想像してみて欲しい。奴らを見返す、現状を良くする。その目的があれば、どんな苦難も乗り越えられるはずだ」

 配下達はペペロンの言う通り、今まで自分の受けてきた仕打ちを思い出していた。奴隷にされていたもの達にはろくな思い出がなかった。今まで辛く理不尽な思いをするだけの人生だった。

「苦難を乗り越えた先に、必ず栄光の日々が待っていると保証しよう。私が皆を必ず強くして見せると保証しよう」

 ペペロンが力強く宣言した。そしてその瞬間、配下達から歓声が上がった。

(……なんか結構、受けてるっぽいな。何言うか迷ったから割とそれっぽいことを、適当に言ったんだけど。まあ、受けたならよかった)

 歓声を起こした当の本人は、少しほっとしながら、配下達の歓声に応えるべく手を掲げた。

 ○

 翌日。

 ペペロンはスパウデン家の本拠地である、タアザ城へと向かっていた。目的はBBCアジトを壊滅させたということを報告するためだ。

 部下には大事な用があると言い残し、一人で向かっていた。

 それほど距離は離れていない。1日で到着できる程度の距離だった。到着したのち、小人だということで怪しまれたが、名を名乗ったら城の中に通してもらえた。

 そして、

「またあったな。小人の村長ペペロン。ルー・ブラスターである」

「再会できて嬉しい限りだ」

 ペペロンはそう言いながらルーに握手を求めるが、ルーは応じずに、

「ここに来た要件を言え」

 少し、高圧的な態度で尋ねてきた。

「BBCの連中を討伐したから、確認をしてもらいにきた」

「何?」

 ルーは眉をひそめる。疑っているという態度を露骨に出した。

 ペペロンはアジトから取ってきたBBCの旗や大量のバンダナをルーに見せる。

「これは……」

 唖然とした表情で、ルーはそれらの証拠を見た。

「ま、待て確かに大量のBBCのバンダナと……そしてこの旗は、奴らがアジトに置く旗で間違いないが……しかし、それだけで確定的な証拠とはならない……!」

「実際に潰したアジトを見てみるか?」

 ペペロンはルーにそう尋ねた。
 ルーは悩んで、

「…………いやいい。分かった。お前がBBCを倒したと認めよう」

「そうか。では税率は1割まで下げてくれるな?」

「ああ、約束通りそうしよう。しかし、驚いたな。劣等種族しかいない村の者が、この短期間でBBCを壊滅させるとはな……これから、村を発展させて、我らスパウデン家に貢献してくれるよう期待しているぞ」

 そう言いながら、今度はルーの方からか握手を求めてくる。

(使えると分かったら、飴を与えてみようってのか。したたかな奴だな)

 と内心では思いながらも、ペペロンは握手に応じて、固い握手を交わした。

 その後、ペペロンは城を後にした。

(いい駒を見つけたって感じの目をしていたな。まあ、今はそれでいいだろう。とりあえず当面の戦略はスパウデン家から信用度を上げて、正式に家来と認められるようになって、そっから戦争で結果を出して領地を貰って……領地が大きくなったら独立して建国を宣言する……って感じだしな)

 ペペロンは帰りながら戦略を考えていた。ちなみにこの戦略はゲーム時代に簡単な攻略の方法としてやっていたことで、現実になったことで出てくる違いなどは一切考慮に入れてなかった。
 残念ながらペペロンは稀代の戦略家などではない。ただのゲーマーだ。元々ゲームでやっていたことを現実でなぞるくらいしか、やれることはなかった。

(部下のララ、エリー、ノーボ辺りの知力高い勢から、助言を聞ければいいんだけどなぁ。なんか俺のこと絶対的に信頼しているみたいだし、助言なんて求めていいんだろうか? いざとなったら聞くしかないよな)

 と少しペペロンは頭を悩ませる。

(ま、とりあえず考えるのは先でいっか。まずは地盤を固めないとな。勢力の強さを絶対的に上げる方法はやっぱり、魔法をより多く使えるようになることだ。早いうちに遠征して、遺跡を攻略して、強い魔法を習得できる魔法の書を獲得していかないとな)

 ペペロンは次にやることを考えながら、拠点まで戻った。

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